手縫いかミシンか?
ミシン縫いと手縫いの違いについて質問を受けることがたびたびあります。
なぜ、手縫いなのですか??ということです。
正直に言いますと、革用のミシンを持っていないからなのですが、手縫いとミシン縫いとでは様々な点が異なります。
いつもと趣向を変えて、ミシン縫いと手縫いの違いについて私の考えを書いてみます。
まず、市販されている革製品はほとんどがミシン縫いです。
というのも手縫いは、非常に時間がかかり、量産に向かないからです。
なんといっても財布1つ作るのに、8時間以上かかることが普通なのですから・・。
手縫いの特徴は糸のほつれ難さ??
手縫いとミシン縫いの違いとパソコンで検索すると必ずヒットするのが、「手縫いは、サドルステッチ(糸の両端に針を取り付け、穴に8の字を描くように縫い進める方法)なので、丈夫である。ミシン縫いの場合は、服などのほつれで一度は経験したことがあると思いますが、一部が切れるとツツーっと糸がほつれていきます。
手縫いの場合はこれを防ぐことができます。糸が切れてもほつれることはないというものです。
確かにその通りなのですが、最近の糸は大変丈夫なため、ミシン縫いでもそうそう糸切れが起こるわけではありません。
そうするとこの部分は、大きな利点ではないようにも思えます。
万一糸切れを起こした場合は、ほつれが広がらないので、修理が容易という点では、手縫いはよいかと思いますが。。
『ステッチラインの美しさ』に尽きる!
個人的には、手縫いの最大の利点は「ステッチラインの美しさ』だと思っています。
手縫いのステッチラインの美しさをミシン縫いのような正確さで縫い上げる。こんなことをいつも考えながら制作しています。
どちらも手縫いのステッチラインです。
手縫いなので少し乱れたステッチラインで問題ない、ということはあまり考えておりません。
(もっとも海外では少し乱れたステッチのほうが手縫いらしい、ともてはやされることもあるそうですが・・)
幸い(?)なことに展示会などに出品するとミシン縫いみたい、と言われることがよくあります。
それでも、手縫いにこだわるのはやはりステッチラインがデザインになると考えているからです。
では手縫いはどのように縫われるのか、少しだけお話しします。
(書き出したら止まらなくなるので、あくまで要点だけ・・・)
整ったステッチラインを作るには・・・
革を手縫いする方法は、まず、菱目打ちというフォークのような道具で革に穴を開けます。
この穴に、両端に針を取り付けた糸で縫い付けていくわけです。
フォーク上の道具であるため、深く突き刺すと穴が大きくなりすぎますし、浅すぎると穴が小さくなります。
穴の大きさを一定に保って開けることが整ったステッチラインのはじめの一歩となります。
開けた穴に糸を通すのですが、糸にも一工夫しています。
一般的に手縫いの場合はシニュー糸や麻糸を用いるのですが、当工房ではミシン縫いと同じナイロン糸を使用しています。
ナイロン糸は、麻糸などと比較すると1つ1つの繊維がながく、強度、耐久性が高いからです。
そのナイロン糸に蜜蝋を塗り込んで縫い進めます。
蜜蝋を塗ることで、「糸を乾燥から守り丈夫にする」「滑りにくくする」ことが可能です。
さらに革の部位や厚みごとに、締め付ける力を変えることでステッチラインを一定に整えます。
非常に時間のかかる作業ですが、完成した際のステッチラインの美しさはなかなかないものです。
手縫いの面白いところは、裏から見てもミの字に整っているところです。
(ミシン縫いとは縫い方が全く異なりますので、このように仕上がります)
こうして両面から見て美しいステッチラインを保ちつつ強度を持つ縫い方が手縫いだと考えています。
実際ステッチラインを見てみたい方は・・・
色々書きましたが、実際見てみたい、というかたは5月27日(水)から6月1日(月)、大阪タカシマヤの展示会で実演を行います。
もちろん販売もしております。
1つの財布ができるまでの流れを実際に行いますので、財布がどのようにできる??、星野ってどんな人物(笑)??など興味のある
方はぜひぜひお越しくださいませ。
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■ 5月27日(水)~6月1日(月)10:00~20:00(6月1日のみ18:00まで)
・「OSAKAアート&てづくりバザール Collecttion in 大阪タカシマヤ Vol.3」
・ 場所: 髙島屋大阪店 7階催会場(大阪市中央区難波5-1-5)
http://www.tv-osaka.co.jp/event/makingbazaar_col/