革職人の手記

財布の良し悪しに最も影響するのは・・・?

完成に最も影響するのは・・・

財布を製作する際、事前準備で7割方 完成度が決まってしまいます。

裁断から、厚みの調整など事前準備をしっかりしておけば後は組み立てるだけ。

プラモデルを作るのに失敗する人は少ないように革製品もしっかりしたパーツを作り、組み立てる手順を間違えなければ作れるのです。

その分しっかりしたパーツ=事前準備にとても時間がかかったりします。 今回は、その中でも厚みの調整についてのお話です。

革は元々厚いものでは5mm、薄ければ1mm未満と(牛や馬といった)動物の種類や、(生後3か月未満、2年以上といった)年齢など果ては個体差によっても厚みは異なります。

私は小物中心なのでそれほど厚みのある革は使いません。

そのため、購入するときに1.5mmや2.0mmなど扱いやすい厚みに漉(す)いてもらいます。

厚みを調整することを、「漉(す)く」といいます。 簡単に言うと裏面を削って革を薄くするわけです。

革の厚みは個体差があるといいましたが、1枚の革でも厚みに差はあります。

購入時に漉きを行うのは扱いやすい厚みにするとともに、厚みを均一化し制作する時に厚みの違いによる誤差を防ぐことにもなります。

 小物つくりは漉き作業だらけ

漉き作業は購入するときだけかというと、そうではなくパーツごとに行う必要があります。

小物は全体をスマートに仕上げる必要がありますが、革を何枚も重ねて製作する場面が多く登場します。

特に、財布の場合、折れ曲がりやすくするため曲がる部分のみ薄くしたり、何枚も革を重ねて製作するカードケースの厚みを抑えるため、一部のみ漉いたりします。

そのため、購入した革の一部のみ漉く必要があります。

しかも財布の場合は、強度を保ちつつ厚みを押さえスマートに作り上げる必要があり、漉き作業も頻発します。 そこで、必須となる機械が漉き機です。

漉き機
このミシンの様な機械に通すことで革をコンマミリ単位の厚みで漉くことができます。
漉き
ただ、機械なので均一に漉くことは得意なのですが、厚みをゼロミリにするような微妙な作業には向いておりません。
そういった場合は、革包丁という革を切るときに使う道具を用いて手で漉く(手漉き)場合もあります。

小物の場合は、結構この手漉きがでてきます。

特に手漉きが多いのは・・・。風琴マチ名刺入れです。
20150620風琴マチ名刺入れ (9)

風琴マチ名刺入れ
この商品などは、とにかく厚みを抑える必要があるため漉き機で漉いた後、仕上げとして手漉きで厚みをゼロにしております。

こうして適度に厚みを調整するとようやく組み立てに入るわけです。

展示会のお知らせ
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展示会の出展が決まりました。
9月のシルバーウィーク(9/19~22)、4日間です。
場所は、いつもの大阪ATCホール。

大阪アートアンド手作りバザールです。
今回は、4日間という長丁場ですので、いつもにもまして商品を増やして臨みたいと思います。
いつものとおり、新作も用意しますので銭遊びに来てください。

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■「アート&てづくりバザールvol.19」

日時 2015年9月19日(土)~22日(火・祝) 10:00~17:00

会場 大阪南港・ATCホール(大阪市住之江区南港北2-1-10)

http://www.tv-osaka.co.jp/event/makingbazaar/


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