革職人の手記

新しい素材で2つ折り財布を作る

星野です。
久しぶりの更新です。
今回は少し特殊な素材でオーダーいただきました。
ステッチも素材の色に合わせて新調しました。
スカイブルー?マリンブルー? っていうのかなぁ。明るい青です。
いつもの栃木レザー青で縫うとこんな感じの鮮やかなステッチになります。
今回用意した素材。ガルーシャ(エイ革)です。
エイ革は100年使えるといわれるほど硬く丈夫な革です。
実は革といっても、牛や豚と異なり、カルシウムで構成されています。
カルシウムというと人間でいう「歯」の成分。
硬いはずです。長持ちするのも納得ですね。
一面にビーズを敷き詰めたかのようなデザイン。そして中心には、「スターマーク」とよばれる
大きく輝く斑点が一つ。
スターマークは、1匹につき1つしか取れないため稀少で、別名ラッキースターとも呼ばれ、縁起が良いとされています。
そんな、独特なガルーシャですが、あまり市場に出回っていません。
というのも、非常に加工しにくいのです。
革職人泣かせともいうべきかもしれませんね。
非常に硬く、ランダムの大きさで敷き詰められた斑点は、革包丁やカッターでまっすぐ切ることさえ困難となります。
何とか切り出しても、、
縫い線を入れるのも一苦労です。
ランダムに敷き詰められた斑点は縫う時もまっすぐ縫うことを阻みます。
いつもの菱目打ちではガタガタになってしまうので、特殊な形の目打ちを使ってまっすぐになるように縫います。
コバについても、やすりで削ると石を削るように粉が舞います。
革の加工というより石の加工です。
そうして完成したのが、、、
ガルーシャを使った2つ折り財布!!
内装は栃木レザーです。
カードポケットを3か所、小銭入れ1か所。それからそれぞれの裏側に大ポケットがそれぞれ1つあります。
しっかりコバも磨いております。
コバを磨くことで、財布の端までガルーシャの質感を楽しむことができます。
(通常は、コバ部分には革を巻くことが多いようです。ガルーシャはコバ処理も大変なので)
久しぶりに作りましたが、非常に作り甲斐のある素材でした。
ガルーシャは使い続けても、型崩れせず、購入時の状態を保ちます。
また、水や汗にも強く(エイですからね・・)、汚れの付きにくいのでメンテナンスいらずで非常に使いやすい財布です。
牛革の経年変化も美しいですが、神秘的な雰囲気を持つガルーシャも捨てがたいですね。

関連記事