革職人の手記

熱すぎるコバへのこだわり

Doublemoon星野です。

今日はコバについて熱く語ってみます(笑)。

コバ→革の端の部分のことですが、この処理には少しこだわって作っています。

革製品の制作はザックリいうと、必要なパーツの革を切り出して、糊で貼り合わせ、針穴をあけ、縫う、それからコバを整える。

これだけです。(ザックリしすぎか(笑)・・)

それぞれの工程で色んなこだわりがありますが、今日はコバについて・・。

コバ処理前の状態です。

貼り合わせて縫った状態だと、コバはこんな感じです。

貼り合わせているのが丸わかり。当然表面もぼこぼこです。

第1段階:カンナ掛け

そこでまずは、豆カンナで表面を整えます。

横から見たときに、滑らかな山形に仕上げたいので、何度か角度を変えてカンナを当てます。

それから、サンドペーパーで表面を整えます。サンドペーペーも粒子の粗いものから細かいものまで数種類使用します。

するとこんな感じになります。この時点で貼り合わせた段差はなくなっています。手触りもある程度滑らかになっています。

 

第2段階 目止め

このまま染料を乗せるとコバの奥までしみこみすぎ、革のギン面(表面)にまで侵食する可能性があるので、目止めを行います。

う~ん。写真じゃ先ほどとあんまり変わらないです。

それでも触るとつるりと滑らかな質感になっています。ただ、このままだと今度は染料が乗りにくいので、サンドペーパーで再度少しだけ荒らします。

第3段階;染料で染める

そのあとようやく染料を塗ります。

ここで使うのは染料です。通常コバ部分には、顔料を塗るのが一般的です。染料は、革などを染めるために使用します。

顔料は染料より粒子が大きく、染料が革の内部まで侵食するのに対し、革の表面に残る性質があります。
このため、表面張力を用いてコバを仕上げるなどの手法が使えます。

一方で表面に乗っているため、時間の経過とともにコバ全体が剥がれ落ちる可能性があります。

それを排除するため、顔料ではなく染料を用いることにしています。

染料の場合は、表面にのせるわけではないので、剥がれることはないですが、しっかり仕上げないと貼り合わせた革が剥がれる可能性があります。

そのため、染料を入れる前の段階で徹底的に、表面を均(なら)すわけです。

そうしてようやく染料を塗ると・・・。

仕上げ:蜜蝋

最後に、色落ちを防ぐため蜜蝋をコバ表面に塗って完成です。

コバ一つでもまだまだこだわりがあります。が、、その話は別の機会で。


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